先生は私の旦那様
夕食は本当に豪華だった。
眼で彩りを楽しみ、美味しそうな香りが鼻をくすぐる。そしてあまりの美味しさに舌鼓を打つ。


「こんなに美味しいお料理があるんだから直寿、お酒飲んでもいいよ」


直寿は飲めない訳でもないのに家では絶対に飲まない。
お正月にお父様が勧めても「今は禁酒中ですから」と言って飲まなかった。
どうして禁酒中なのかは聞いたが教えてくれなかった。
外で飲んで帰って来たのもあの日1日だけだった。


「いや、辞めとく。特に今日の稀美果だと危険だから」

「え?なんで今日の私だと危険なの?」

「あっこれ旨い! ここは蛤が名物なんだな? 稀美果も食べてみろよ! ホント旨いぞ!」


なんか話をはぐらかされた感じ…


「あーお腹いっぱい食べ過ぎちゃった! ねぇ直寿ここいつ予約したの? ひょっとして野田さんの事があったから?」

「彼女の事は関係ないよ! 本当はゴールデンウィークに予約取ろうと思ったんだけど取れなくてさ! 今日になったんだ」


良かった! 野田さんの事があったから罪悪感で連れて来てくれたのかなって少し心配だった。でも、違っていたみたいでホッとした。


そろそろ寝ようとベットルームに入るとベットは2つ。
ベットに入ったけどいつも一緒のベットで寝てるから何だか寂しい…


「直寿…そっちに行っても良い?」
稀美果は少し首を傾げ不安げな顔を見せる。

直寿はそんな稀美果を見てクスッと笑い布団を開けてくれる。

「おいで、稀美果は俺を困らせたいみたいだな?」


稀美果は頬を染め直寿の布団へ入ると温かく直寿の温もりを感じる。


「私、直寿を困らせてるの?……」


稀美果は頬を赤らめ上目遣いを向けると直寿まで顔を赤くする。





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