先生は私の旦那様
「あぁ困らせてるよ! 俺が必死に我慢してるのに稀美果はお構い無しだからな! 前に熱を出した時、瞳を潤ませて見つめられて『ドッキ!』とした。熱があるんだと分かっていても稀美果を求めたくなった。毎日一緒のベットで寝てるのに好きな子を抱けないって蛇の生殺し状態なんだぞ」と直寿は微苦笑する。


私が熱を出した時口に手を当てて『移すなよ!』って言ったのは自分の気持ちを隠すためだったの?


「それなのに稀美果は一緒に風呂へ入ろうと誘惑してくるし…」

「え?じゃー分かってたの? 私が誘った事…」

「あぁ分かってたさ!」直寿はクスッと笑う。

「でも、どうして? 私達は夫婦だよ! そういう…こ…と…しても…」

稀美果は頬を赤らめ視線を逸らす。

「俺達は正真正銘の夫婦だ。でも稀美果はまだ学生だろ?進学の事とか考えるとな… 俺は毎日でも稀美果を抱きたい! だか、今、稀美果を抱くと俺の歯止めが効かなくなる。だから今は我慢してるんだ」


直寿が私を求めて来なかったのは私の為だったの?…
私はずっと愛されてたんだね?…
なにも不安になる事は無かったんだね?…


「直寿…ありがとう。愛してる」


稀美果はそっと触れるだけのキスをすると

「だから煽るな!」と額を指で突っつかれた。

「今日は浴衣で髪を上げて魅せてくれるしあの下着を着けてるかと思うとヤバイんだけど? 奥さんあまり煽らないで下さいよ」


直寿のこんな気持ちを聞けたのは、初めてだったから…本当に嬉しかった。

そして『奥さん』って言葉がくすぐったかった。


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