先生は私の旦那様
ガラガラガラ…

稀美果は教室の扉を開け自分の席に着いた。



「円成寺!もうチャイムがなったのに堂々と入って来るとは良い度胸してるな!」直寿が嫌味を言う。



ホームルームのチャイムは既になっていた。



いつも稀美果なら遅刻の時はこっそり教室に入ろうとするのだが今日は堂々と教室に入り席に着いたのだ。



稀美果は椅子から立ち上がず

「すいません!学園長のお祖母様の所へ行ってました。お弁当を届けに!!」とふてぶてしい態度で言った。



直寿は「お弁当…」と呟いた。



稀美果は「掃除ですよね?資料室の掃除でいいですか?」と無表情で言った。



直寿は驚いて「あぁ…」とだけ発した。



驚いて居るのは直寿だけではなくクラスの全員が驚いていた。



それもそのはず稀美果の口から今まで「学園長のお祖母様」と言う言葉を聞いた事など無かったからである。



親友の碧でさえ。



「稀美果、あんたどうしたの?何かあったの?」と碧も心配して聞いてくる。



「ううん…何もないよ…」





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