先生は私の旦那様
「でもさ、稀美果と黒木が結婚してるなんてバレたらヤバイよね間違いなく大騒ぎになる。 私にも内緒にしていたのは分かるとして、これからどうするの? 1組の男子の様子だと、尚樹あんた言いふらしたでしょ!?」



「ごめん…」



碧は顎に手をやり何かを考えている様だ。その姿はまるでロダンの考える人。



碧は暫く考えた後、よし!と手を打ち



「この際だから尚樹、稀美果の彼氏になりな!」



何を考えているかと思えばとんでもない事を碧は言い始めた。



「「えっー!!」」



頓狂な声を出したのは稀美果と尚樹である。



「だってさ!尚樹と付き合ってるって事にしておけば黒木との事はカモフラージュ出来るし、稀美果を狙ってた男子がちょっかい出して来ること無いでしょ?」



「ちょっと待って! 私を狙ってる男子って何? そんな人居ないよ!」



「稀美果は鈍すぎるからね…尚樹があんだけアプローチしてたのに気が付かないんだもんね!? 結構居るのよ! 稀美果の事が好きだって言う男子、3年だけじゃなくて下の学年でも居て稀美果は人気なのよ! でも、尚樹が手を出すなよってそれとなく釘を差して回ってたのよ!」



嘘… 信じられない…… 私がそんなにモテたなんて……

波瀬川君が釘を差して回ってたなんて……




「まぁその鈍感さが良いのかもね!」と碧は笑う。



鈍感って… 私ってそんなの鈍感なの?……



「それにさぁ! 尚樹も今更付き合っていません。 稀美果が好きになってくれたと言うのは勘違いでした。って言えないでしょ?どうせサッカー部でもお馬鹿丸出しで喜んで話したんでしょ!」



「ごめん…」と波瀬川尚樹が謝る。



これで何度目だろう波瀬川君の謝罪の言葉は…



稀美果は申し訳なく思う。



「そんな恥ずかしい思いするより良いでしょーよ!?」と碧は言う。



確かにそうかもしれない……



碧の話を頭を抱えて聞いていた波瀬川だったが何も言葉が出て来ないようである。



軽率な行動で波瀬川に勘違いをさせてしまい責任を感じている稀美果も何も言えず、ふたりは仕方なく碧の提案に乗る事にしたのである。



その後、波瀬川も吹っ切れたようで

「あの時の黒木めっちゃ怖かったし、俺、マジで殴られると思った。二度と稀美果には手を出さいないから安心しろって言っといてよ!」と言ってお弁当を美味しそうに食べてくれた。



でも…直寿になんて言おう…… 









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