先生は私の旦那様
稀美果は家に帰ると夕飯の準備に掛かる。

今夜はロコモコ丼にしようとバンバーグのタネをこねていた。



「稀美果、ただいま!」

直寿は稀美果を後ろから抱くように腰に手を回す。



稀美果は抱きつかれるまで直寿が帰って来た事に気が付かなかった様だ。



「あっおかえり」



「稀美果、玄関鍵開いてたぞ気を付けろよ!」



「ごめん…気をつける」と言いながらひたすら挽肉をこねる。



「稀美果?それハンバーグ作ってるの?」



「そう、ロコモコ丼にしようと思って」



「じゃー玉ねぎも入れたほうがいいと思うけど?」



直寿はフライパンに入っている炒めた玉ねぎを挽肉の入ったボールに入れた。



稀美果は挽肉をこねていただけで炒めた玉ねぎも卵も何も入れて無かった。



「あっごめん…」



「心ここにあらずだな?今日話したんだろ?何かあったか?」



俺がやると言って稀美果からハンバーグの種の入ったボールを受け取り作り始めた。



「ウ~ン実は…」と稀美果はお昼に碧達と話した事を直寿に話した。



「そうか…その方が良いかもしれないな?」



直寿は温まったフライパンに成形したハンバーグのタネをを入れるとジュー!と音がする。

次第にお肉の良い匂いがしてくるとお腹が催促するように鳴き出す。



「直寿は良いの?私が波瀬川君と付き合ってると噂になっても平気なの?」



稀美果は、昨日、波瀬川に見せた直寿の顔を思い出すと、今の直寿の返事が信じられない。








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