瀬戸さんと水無月くん
3 どうしようもなく残念な
「おはよう、瀬戸ちゃん!あれ……水無月くんは?」


この質問は、本日五回目。


「おはよう。水無月くんは、本日風邪でお休みだそうです」


そして、この答えを口にするのも本日五回目。


「水無月くんでも風邪引くんだね」


みんな全く同じように驚いて、全く同じような感想を口にする。
なぜか個人的に水無月くんの欠席理由を報告しに来てくれた担任も、同じように驚いていたし、聞いたときは私も正直驚いた。


「水無月くんも、あれで一応人間だから」


皆勤がかかっていたのに残念だ……と呟いた担任にも同じことを言ったので、この返しは本日で通算六回目。いい加減言い飽きた。


「そっか……確かに、水無月くんってちょっと宇宙人っぽいけど、よく考えたら人間なんだもんね」


今日の今日までクラスメイトの誰からも、同じ人間だと思われていなかった水無月くんはさすがだ。


「でも水無月くんのことだから、きっと明日には元気に登校してくるよ!だから瀬戸ちゃん、元気出しなよ」


そう言ってぽんっと肩を叩いて去っていくクラスメイトを見送り、首を傾げる。
< 20 / 38 >

この作品をシェア

pagetop