この手で、あなたを

「は」と私が反応する間もなく、少女は私の左手をグイッと引き、部屋の中央にある大きな長細いテーブルまで移動させた。

「お絵かきしよう!お題を出すから、どっちが上手く描けるか比べよう!」

 私は仕方無く、少女がテーブルの上に置いたクレヨンの青色を手に取り、紙に適当に絵を描いた。

 片時もサイレンの音を逃さないよう、常に耳に神経を張り巡らしながら。

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