変わらぬ愛なんて、あり得ない!【甘い香りに誘われてⅡ】spin off
カチャ…

玄関のドアを開けると、リビングから灯りが漏れていた。

帰ってたんだ…

「おかえり。早かったね」

リビングに行くと、ほうじ茶をすする矢野さんがいた。

「ただいま。お仕事お疲れさまです」

「美咲も、お疲れさまです。ほうじ茶だけど飲む?」

と尋ねるので、淹れてもらうことにした。


コト…


「矢野さん、京都のほうじ茶って美味しい」

「でしょ?京都といえば宇治茶って、思われてるみたいだけど、うちも近所の家の人も、宇治茶よりもほうじ茶よく飲んでたよ」

「…矢野さんって、京都の人なの?」

「うん。転勤族だから、いろいろ行ったけど、京都が一番長かった。あとは親父だけグルグル引っ越してたよ」

「へえー、そうなんだ。京都って、素敵な所だよね。私はずっと東京だから、なんか憧れる」

「なら、今度行ってみるか?京都へ」

「うん…」

お試し同居解消の事を言いそびれた。ううん、言いたくなかった。もう少し、このままでいたい。




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