変わらぬ愛なんて、あり得ない!【甘い香りに誘われてⅡ】spin off
*矢野side*

『晩ごはんは欠食でお願いします』

単身寮の連絡事項みたいなメールに、クスッと笑う。

「なんだ、アイツいないんだ……」

美咲と一緒に食べるご飯は美味しい。

すっかり当たり前になった習慣に、心が安らいだ。

仕方ないな。明日の朝食の仕込みをしつつ、その日の晩ごはんは、適当に済ませた。


カチャ…

リビングで、ぼんやりしてると、美咲が帰ってきて、
ほうじ茶を一緒に飲みながら、今晩の食事会の話になった。

『どの料理も、お洒落な盛り付けで美味しいんだけど、なんか、矢野さんと一緒に作って食べた料理の方が、美味しいなって思っちゃいました』

美咲が、ふわぁ〜と、欠伸をする。眠いのか、目がトロンとしている。

「風呂に入ってから寝ろよ」

こくんと頷く。

『うん、ずっと、ここにいたいな……』

よほど食事会が疲れたのか、美咲はむにゃむにゃと、眠ってしまった。

寝ぼけた美咲が、ここにいたいと言ってくれた事が、すごく嬉しくて、心がほんのり温かくなった。



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