変わらぬ愛なんて、あり得ない！【甘い香りに誘われてⅡ】spin off

社内での矢野は、終始穏やかに微笑み、負の感情を表に出さない。

そんな印象の彼が、泣いてる美咲に慌て、人目も多い街中で、彼女を抱きしめる熱い男に変化を遂げていた。

自分には出来ない事を、躊躇いなく、やってのける矢野を羨ましく思った。

矢野の美咲を見る目……あれは、愛しい者を見つめる目だ。

そんな矢野に彼女がいるなんて、何かの間違いだろう。だが、美咲を諦めきれない卑怯な俺は、そんなこと教えてやらない。

部屋で一緒にうな重を食べ、美咲の淹れてくれたお茶を飲みながら、どうしたら、彼女が俺の隣にきてくれるのか、グルグル考えていた。