変わらぬ愛なんて、あり得ない!【甘い香りに誘われてⅡ】spin off
*矢野side*

折り畳んだ台車を持って、エレベーターに乗り込む美咲の後ろ姿を見送り、ソファにどっかりと腰を下ろす。

「本当は行かせたくないよ。葉山の所なんて」

けど…と思う。

7年前と今の葉山の気持ちを聞いたと話していた。
美咲も、ずっと心の中にしまい込んでた気持ちを吐露したと、スッキリしたと言う。

何か、吹っ切れたようだ。

もう恋はしないと、自分に言い聞かせていた美咲が、俺の事を好きだと応えてくれた。

美咲は、葉山の事が好きなんだとばかり思ってたから、美咲の口から『矢野さんが好き』という言葉を聞けて、俺がどれだけ嬉しかったか分かんないだろうな。

深く傷付いた美咲を、めちゃくちゃ甘やかして、葉山の事なんて、思い出させてやるもんか。


とはいうもの、葉山の部屋へ行った美咲が戻ってくるまで、落ち着かない気持ちで過ごした。

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