年の差恋愛
それからは、亜美の仕事が終わる頃迄に、茂も仕事を終わらせるようにした。

そして共に会社を出て、マンションに帰る毎日。

亜美を追いかける足音も無くなっていると思っていたが、毎日のように、実はついてきていた。

「…亜美、悪い。今日だけは、どうしても外せない仕事があって…不本意だが、安藤部長に、亜美の事をお願いした」

電話でそう連絡があり、亜美の仕事が終わるまで、日向が待っていてくれた。

「…亜美ちゃん終わった?」
「…はい。すみません、今終わりました」

2人で会社を出て、電車に乗って、家の最寄駅で降り、街灯の少ない夜道を歩く。

「…亜美ちゃん」
「なんですか?」

「…亜美ちゃんの婚約者って、…市来統括部長?」

「…」

ばれた…でも、ばれてもおかしくない。茂と同じマンション、私をお願いする時点で、わかる事。

悪い事をしてる訳じゃない。だから、亜美は小さく頷く。…その時だった。

「…そんなの許さない」

女の声が聞こえた。

その声の方に振り返ると、そこには、茂と見合いをした美智子が立っていた。

…ずっと、亜美の後をつけていたのは、美智子だった。

「市来さんは、私のものよ!」
「…亜美ちゃん‼︎」
「…やっ‼︎」

…一瞬の出来事。

ギュッと目を瞑っていた亜美だったが、ゆっくりと目を開けると…

亜美を庇った日向の腕から、たくさんの血が、滴り落ちていた。
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