年の差恋愛

君の愛が手に入るなら

自分に向けられていない視線を辿るように振り返った亜美は、目を見開いた。

「…本気で言ってるのか、安藤部長」

…そこには、眉間にしわを寄せた茂が立っていた。

「…冗談で、こんな事言えるわけないじゃないですか?本気ですよ…卑怯だと言われてもいい。俺は、亜美ちゃんが欲しい。自分が守った彼女を欲しいと言って、何が悪いんですか?」

「…」

衝撃の事実がうまく飲み込めず、日向からの告白に、頭が真っ白になった亜美は、言葉を発することも出来ず、その場に立ち尽くしていた。

…卑怯だと言う事は、日向自身が一番良く分かっていた。

大好きな人と、これからもっともっと幸せになろうとしてる二人の邪魔者は自分。それでも…そうまでしてでも、亜美が欲しかった。

…大学の時は、可愛い妹だった。だが、またこうして再会して、あの頃とは違う亜美の姿。とても綺麗になって、でも、笑顔はあの時のままで、『妹』から、『女』に変わるのなんて、時間はかからなかった。

もっと、亜美に近寄りたい。近寄れば触れたくなり、触れれば全てが欲しくなる。

自分の気持ちを伝えようと思った矢先、亜美に、婚約者がいる事が分かり、打ちひしがれた。

諦めよう。まだ、傷は浅くて済む。

そう思い始めた頃、あの事件。とっさの事とはいえ、自分の身より、亜美を何が何でも守りたい一心で、身体が動いた。
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