年の差恋愛
「…亜美ちゃん、この後の予定は?」

定時が過ぎ、社員達は次々に帰っていく。亜美も、仕事を終わらせ、帰り支度をしていた。

そこへ日向が来て、亜美に問いかけた。

「…えっと…この後はちょっと予定があって」

困惑した顔で、言うと、日向は笑顔で言った。

「…そう、分かった。それじゃあ、俺は帰るよ」
「…すみません」

「…なんで、そんな顔するの?そんな悲しそうな顔をしないで、前みたいにもっと笑って見せてよ」

日向の言葉に、亜美は、笑顔を作ろうとしたが、笑顔が引きつってしまって、笑うのを止めた。

…その顔が、あまりに痛々しくて、日向は胸が締め付けられた。

…本当に、亜美を、茂からこのまま奪ってしまってもいいんだろうか?

自問自答してみたが、その答えは出なかった。

そんな時、日向の携帯が鳴る。…着信相手を見て、日向は顔を歪めた。

出るのを止めようと思ったが、出ないわけにもいかず、それに出た。

…着信相手は、女性。…父に決められた婚約者だ。お互い気持ちはない。だから、今夜、しっかり断るつもりで会う事を決めた。

…某ホテルのレストラン。先に来ていた婚約者の女性は、本当に綺麗でおしとやかな人だ。

「…美鈴さん、お待たせして申し訳ありません」
< 109 / 115 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop