年の差恋愛
驚く日向の顔を見て、美鈴は寂しげな笑みを浮かべた。

「…日向さんは、両家の親が勝手に決めた結婚だと思っていらっしゃるでしょうが、本当は、私が父と、日向さんのお父様に、直接お願いしたんです。日向さんと結婚したいと」

美鈴の言葉に、返す言葉が見つからず、ただ黙って日向は耳を傾けた。

「…日向さんは覚えていらっしゃらないでしょうが、私は何度も日向さんに助けられたんです。誰一人、私に手を差し伸べてくれる人がいない時、そんな時、必ず日向さんが手を差し伸べてくれました。…あー、こんな人が、私の傍に居てくれたらいいのにって、何度も思って…でも、なかなか自分から声をかけられなくて、でも、諦められなくて…日向さん。

結婚したくなかったら、しなくても構いません」

「…え?」

「…どうしても嫌だったら、別れてくれて構いません。でも、一度だけでいい。一度だけでいいから、私と本気で向き合って頂けませんか?不毛な恋をするのではなく、私と、一から恋愛して頂けませんか?」

やっとの思いで、自分の気持ちを打ち明けた美鈴は、気持ちが溢れ過ぎて、泣いていた。

…女性の涙を見て、こんなに綺麗に泣く人を日向は初めて見た。…ハッとして、日向は、自分のハンカチを美鈴の頬に優しくあて、涙を拭った。
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