年の差恋愛
…その頃、亜美は、挙式予定の教会の前にいた。しばらく、ライトアップされた教会を黙って見つめていた。

…本当に、自分は茂と結婚してもいいのだろうか?怪我をさせてしまった罪悪感が消えない。

自分と一緒にいて欲しいと言う、日向の傍にいるべきなんじゃないか?

自分を助けてくれた日向を支えられるのは、自分しかいない、そう思えてならなかった。

…そう思うのに、茂が好きだと言う気持ちもまた消える事はない。

日向の傍にいるなら、この気持ちを捨てなければならない。

…思い悩む時間は、もうほとんどないのに。

その時だった。突然降り出した雨。本当なら、雨宿りするところなのだが、亜美は、その場から動けなかった。

「…亜美ちゃん。雨に濡れると、風邪をひくよ」

その声が聞こえたと同時に、亜美の頭上に傘がさされた。我に返った亜美は、振り返ると、そこには日向が立っていた。

「…どうして」
「…うん、ここにいるような気がしたから」

「…」

穏やかな表情でそう言った日向。それとは対照的な困惑顔の亜美。

「…俺と、傍に居てくれる考えはまとまりましたか?」

「…それは」

俯いてしまった亜美の頭の上に、日向の大きな手がのせられた。
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