年の差恋愛
「…亜美ちゃん「…待ってくれ、安藤部長」

日向が何か言いかけたところで、誰かの声が重なった。

その声に、亜美と日向がそちらに視線を移す。

そこには、息を切らせた茂が立っていた。息を整えながら、二人の前に立つと、日向を真っ直ぐに見つめた。

「…安藤部長」
「…市来統括部長、俺は、貴方の話しを聞くつもりはありません」

「…聞かなくても、言わせてもらう」
「…この手、本当は、もう治ってるんですよ」

日向の突然の告白に、茂と亜美は目を見開いた。

「…だから、もう、俺の傍に、亜美ちゃんがいる必要はない」
「…安藤先輩」

「…もう、亜美ちゃんと、市来統括部長を苛めるのは終わりにします」

そう言うと、日向はニコリと笑った。

「…ご結婚おめでとうございます。式には行きませんので、ここでお祝いの言葉だけ言わせてもらいます。…亜美ちゃん、苦しめてゴメンな」

そう言うと、日向は二人に頭を下げて、その場を去った。

…しばらく歩いて振り返ると、泣いてる亜美を茂が包み込んでいた。

…安心しきって泣いている亜美を見て、なんだか心が軽くなった気がした。

そんな日向を、駐車場で一人の女性が待っていた。日向は驚いた。

「…どうしてここへ」
「…貴方がまた嘘をついたから」

そう言って、悲しげに微笑んだのは、美鈴だった。
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