年の差恋愛
「…わかったか？」
「…はい、助かりました。ありがとうございます」

ドキドキしていた気持ちを隠すように、笑顔で礼を言った亜美は、またパソコンを打ち始めた。

市来部長も、自分のデスクにつくと、仕事を始めた。

オフィスの中に、亜美と市来部長の二人だけ。二人きりの空間に、なんだか息が詰まる亜美は、早く仕事を終わらせたくて、頑張って仕事を進めた。

「…市来部長」
「…なんだ？」

仕事の手を止め、亜美を見上げる。…この人、こんなにカッコよかったっけ？と、亜美は眉間にしわをよせた。

「…なんだって聞いてるんだ」

睨まれた事にイラっとした市来部長は怒った口調でもう一度問う。

「…ぇ、あ、これ、出来上がりました」
「…」

慌てて差し出した亜美の手から、書類を受け取り一通り目を通す。

「…よくまとめてる」
「…良かったです」

「まとめる力はあるのに、パソコン操作がまだまだだな」
「…ゔ」

褒められたと思ったのに、また怒られた。亜美は思わず、口を膨らませる。

すると、市来部長はまた、片眉を上げた。…その顔怖いですって。と、亜美は突っ込みたい衝動に駆られたが、グッと堪えた。

「…何か言いたそうな顔だな」
「…いえ、なにも」
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