年の差恋愛
…この日を境に、亜美は、市来部長を避けていた。市来部長もまた、亜美を避けていた。

亜美に頼んでいた仕事は、他の社員に。

亜美も、先輩達からの仕事しか受けなかった。

二人の変化に、いち早く気づいたのは、健斗だった。

昼休み、梓は外回りの為、社食には来なかった。健斗は亜美と二人で、社食でランチをしながら、気になったことを問いかけた。

「…なぁ亜美」
「んー?」

サラダを小動物のようにモグモグしながら健斗を見る。その顔がなんとも可愛くて、健斗は笑ってしまう。

「…何?」

笑われて、ちょっとムスッとした亜美が、もう一度言う。

「…悪い悪い。…あのさ、市来部長となんかあった?」
「ゴホッ…ゴホッ…」

「…大丈夫か?」
「…うん、ゴメン…べ、別に、何もないけど。どうしてそんな事を聞くの?」

ハンカチで口を拭って、健斗に言う。

「…明らかに二人の態度がおかしいから」
「…健斗君の気のせいだよ」

そう言って笑うと、またご飯を食べ始めた。

「…じゃあ、好きな奴いる?」
「ゴホッ…ゴホッ…さっきから何?変な質問ばっかり」

内心ヒヤヒヤしながら、言葉を選んで言う亜美に、健斗は続ける。
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