年の差恋愛
「んー、いやー、市来部長の事、怖いとか言ってたけどさ、亜美って、市来部長の事好きなのかなあって思ってさ」

「ば!バカな事言わないでよ。なんで私が市来部長の事を…」

「そうなのか?…じゃあさ、」
「何?」

亜美は、健斗を見つめると。

「…じゃあさ、俺の彼女にならないか?」
「…」

健斗の言葉に、思考回路が停止した。

「…聞いてるか?おーい」

健斗は亜美の顔の前で、手をひらつかせた。

ハッと我に返った亜美は、怪訝な顔で健斗を見た。

「…なんの冗談?」
「バカ言え!冗談でそんな事言えるか」

「…だって、私はてっきり、健斗君は、梓の事が好きなのかと思ってたから」

喧嘩するほど仲が良いとか、好きな奴ほど苛めたくなるとか言うし。

「…梓は友達。綺麗だけど、性格が合わない」
「…そうかな?」

美男美女で、結構お似合いだと亜美は思ったが。

「…俺はな、亜美みたいな女の子って感じの子が好きなの。だから、俺と付き合おう?」

そう言った健斗は、優しい笑みを浮かべた。

「…いや、でも、私は」

健斗は亜美にとって、友達だった。急に付き合うとか、考えられない。

「好きな奴がいないなら、とりあえず、試しでいいから、付き合ってよ。本当の俺を知ってもらいたいし」

「…急に言われても困るよ…ちょっと考えさせて…ね?」

困惑の表情で亜美が言うと、健斗は仕方なしと言った顔で、頷いた。
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