年の差恋愛
「…ごちそうさま」
「…お粗末様でした」

りちぎに手を合わせてごちそうさまをした市来部長にちょっと驚きながら、亜美も笑顔で返す。

市来部長は、立ち上がると、食器をキッチンに持っていく。亜美は慌ててそれを止めるが、聞く耳持たず。

「皿洗いくらいはさせてくれ」
「え、でも、それではお礼になりませんよ。気にしないでこのままおかえりください」

「…いや、かえって借りが出来そうだから。…皿の片付けは、澤田に任せるよ。何処にあるのかなんて、知らないから」

「…はい…それじゃあお願いします」

市来部長が洗った皿を、亜美が拭き、食器棚にしまっていく。見事な?連携プレーに、亜美は少し可笑しくなってクスクスと笑った。

「…何が可笑しい?」
「…見事な連携プレーだなぁって、会社と同じですよね」

「…俺は、全くそんな感じがしないが」
「…ん?」

では、どんな感じ?と小首を傾げる亜美。

市来部長が今、何を思っているのか、亜美にはさっぱりわからない。

「…終わったから、帰る」
「…あ、ありがとうございました」

市来部長を玄関まで見送ると、おやすみなさい笑顔で亜美は言った。

…市来部長は、玄関先ではなく、自分の腕の中で言ってもらいたいと思ってしまって、思わず溜息をついた。

「どうかしました?」
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