年の差恋愛
目の前で溜息をつかれ、亜美は不思議そうに市来部長を見つめる。

「…いや、どうもしない。じゃあな」
「…はい」

ニコリと微笑む亜美の頭に無意識に手を伸ばしていた。亜美は驚いて、固まっている。

「…悪い」
「…い、いえ」

真っ赤な顔で首を振る亜美。
…何で、こいつはこんなに可愛いんだ?

そんな事を思ってみたが、それを口に出来るはずもなく。

市来部長はそのまま自分の部屋に戻って行った。

部屋に戻ってから、市来部長も、亜美も、それぞれに互いの事を思っていた。お互い惹かれているのに、それを口にするのが怖かった。

年が近ければ、もっと勢いよくぶつかって行けるのに、27歳と言う壁は、あまりに大きく高過ぎた。

どんなに惹かれあっても、どんなに好きあっても、互いの気持ちは交わる事はない。

そう思うと、胸が締め付けられるほど苦しかった。
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