年の差恋愛
…週明け、珍しく寝坊した亜美が、遅刻ギリギリで出社すると、総務部の中が騒然としていた。

誰かのミスで、会社に多大な損害が出そうだと言う。そのミスをしたのは。

「澤田、お前か?」
「…え?…それ、私じゃな…」

先輩の指摘に、亜美は首を何度も振った。亜美が任された仕事じゃなかった。その、仕事をしてたのは、今、亜美にミスを押し付けるそこ先輩だった。

「…静かにしろ!今は、誰がミスしたとかどうでもいい!それより、ミスを取り返す方が先だろ⁈」

そう言ったのは、…市来部長。みんなは一瞬静まり返り、そうたそうだと言い合い、仕事に取り掛かる。営業部との絡みもあり、収集が付いたのは、定時も過ぎ、午後9時が回った頃。

総務部、営業部のみんなに頭を下げ、亜美は謝罪するほかなかった。

最後に残った市来部長の前。亜美は深々と頭を下げた。

「…今日は、本当にすみませんでした」
「…」

「…本当に…」

自分のミスではないのに、これだけ頭を下げていれば、悔しくて息が詰まる。これ以上もう、謝罪の言葉も出てこない。だから、頭を下げ続けるしかない。

「…顔を上げろ」
「…」

そんなの無理だ。泣いてるなんて知られたくない。

「澤田!」
「…ぁ」

…。
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