年の差恋愛
思いがけない突然の告白に、亜美は動揺を隠せない。

「…私のこと、子供っぽいって興味ないって、だから私も、市来部長から離れようって…市来部長は怖くて…苦手で…でも、本当は凄く優しくて、なんでこんな人好きになっちゃったのかなって…あー、自分でも何が言いたいのかわかんなくなってきた」

困惑した顔で市来部長を見上げれば、市来部長は驚いたような目で、亜美を見下ろす。

「…市来部長?」
「…澤田の好きな男って…」

「…ぇ…ぁ」

動揺して、どさくさ紛れに、市来部長の事が好きだって言ってしまった。

「…俺の事、どう思ってる?」

分かってるくせに、そんな事を聞く市来部長。

「…分かってるくせに、聞くんですか?」

目を泳がせ亜美が言うと、市来部長は亜美の顔を両手で包み込み、自分の方に向かせる。

「…ちゃんと言わなきゃわからない」
「…」

えーい、こうなったら、恥ずかしがってる場合じゃない。亜美は意を決して言い放つ。

「私は、市来部長が好きです!大好き…です」

「…俺も、澤田の事が好きだよ」

そう言って、微笑んだ市来部長は、そのまま亜美の唇を奪った。

ファーストキスを大好きな人と出来た亜美は幸せに酔いしれていた。


…その日は、キス以上の事はなく、互いの家に戻った。

…次の日、亜美にミスを押し付けた先輩は、みんなの前で謝罪した。…そして亜美にも、ちゃんと謝罪した。

どれもこれも、昨日、市来部長が先輩を叱り、謝罪するように言ってくれたから。そのおかげで、亜美の濡れ衣は晴れ、仕事に戻る事ができた。
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