年の差恋愛
穏やかな時間が過ぎていく。亜美にとって、茂は初めての彼氏なのだが、このデートを茂は楽しめているのだろうか?

亜美は、この穏やかなデートが本当に楽しい。でも、大人な茂は楽しめていないんじゃないだろうか?

「…茂さん」
「…ん?」

「楽しいですか?今日のデート」
「…どうした、亜美は楽しくない?」

ピタリと足を止めた茂が、逆に亜美に問いかけた。

「ううん!すっごく楽しいです!…ただ」
「…ただ?」

「…私、初めてなんです。…その、デートってやつが。…だから、茂さんはこんな面白味に欠けるデートが、あんまり楽しくないんじゃないかなぁって、ちょっと心配になって」

茂が繋いでくれてる手を見つめながら、亜美が言う。

すると、茂は亜美の頭をぐしゃぐしゃっと撫でた。

「ひゃっ!何するんですか⁈髪がぐしゃぐしゃ」

そう言ってむくれる亜美を可笑しそうに見つめる茂。

「…俺もこんなデートは初めてだ」
「…やっぱり楽しくないんじゃ」

言いかけた亜美のおでこに軽くデコピンした茂は少し怒ってみせる。すると、亜美は肩をすくめた。

「人の話は最後まで聞け」
「…でも」

「…初めてだ。だから、凄く楽しいよ」

怒った表情は一瞬で、すぐに優しい笑みを浮かべ、そう言った。
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