年の差恋愛
亜美は目を丸くして、茂を見つめる。

「…デートって、みんなどっかに出かけるだろ?映画、水族館、買い物とか?それはそれで楽しいとは思うけど、お互い何も知らないまま出かけたって気を使うだけだと思うんだよな。実際俺もそうだったし…気を使うだけのデートなんて、楽しくない、疲れるだけ。でも、今日は違う。一緒に食事して、色んな話をして、お互いの事を知って、あ、こんなの好きなんだ。じゃあ次はあそこに連れて行こうとか考えられるだろ?まあ、俺としては、こうやって一緒にいられるだけで、なんか、亜美に癒されて、幸せなんだけどな」

そう言った茂は、少し照れたような顔をした。

亜美は、茂の言葉が嬉しくて嬉しくて、人目も忘れて、抱きついてしまった。

当然、茂は驚きつつ、亜美を抱き留めた。

「…ぁ、ごめんなさ」

抱きついたのは一瞬で、急いで離れようとした亜美だったが、茂は亜美を離さなかった。

「…亜美の愛情表現は、素直すぎ」

そう言ってクスクスと笑う茂。亜美は恥ずかしそうに目を泳がせる。

「…でも、その方が、わかりやすいからそのままでいろよ」
「…うー」

茂はしばらく亜美を離さなかった。
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