年の差恋愛
そう言って苦笑する美鈴に、亜美はただただ驚いた。こんなに美人で完璧な美鈴を捨てる男がいるのかと。

「ねぇねぇ、その男、誰だか知りたくない?」
「エッ⁈…」

…知りたい!とは思うものの、その言葉が出ず、困惑顔。

「…澤田さんも、よ〜く知ってる人よ」
「…まさか、総務部にいるんですか?」

恐る恐る問いかけると、美鈴はニコッと笑って頷いた。

「…い、いや、やっぱり聞くの止めとき「…市来部長。…市来茂」

「…⁈」

総務部にいると聞いて、何だか嫌な予感がした亜美は、聞くのをやめようとしたのに、美鈴が、誰か言ってしまった。

亜美は、嫌な予感が的中してしまい、驚き、溜息をつき、終いには、美鈴を凝視した。

「…お二人なら、お似合いですよね」

思わず、最初に2人を見たときの感想を述べてしまった。

「…そう思う?…私は今でも、好きなんだけどね〜…向こうはどう思ってるのか…そうだ‼︎澤田さん、協力してくれない?」

「…ぇ、…へ⁈…む、むむむ、無理です」
慌てて拒否した亜美だが、美鈴は負けじと言い続ける。

「…いいじゃない!澤田さんには、素敵な彼氏がいるんでしょう?私に協力するくらい、バチは当たらないと思うの」

…それが、市来茂でなければ、の話だ。
いや、でも、ここで引き受けるわけにはいかない。亜美は、市来茂の彼女なのだから。

「…有坂さん、実は「よし‼︎決まり‼︎そういう事でよろしく」

「エッ、あ、有坂さん‼︎…」

亜美の話も聞かず、美鈴は嬉しそうな顔で、席を立つと、食器を下げ、先にオフィスに戻ってしまった。

…亜美は、泣きたくなった。
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