年の差恋愛
「…どうしてあんな事言った?…有坂さんが予定を聞いたからか?」

「…」

羽交い締めにしている相手の顔は見えないが、その声で誰か分かった。

…茂だ。

茂の問いかけに、亜美は答えない。1時間も帰って来なかったのだ。尚更何も言えない。

「…俺と有坂さんが、どうかなったとおもったか?」

「…有坂さん、は…美人で…完璧なんです。…わた、しなんて…ぜん、ぜん、敵わなく、て…」

「…バカだな…何で、そんな事思う必要がある?」

「それは…」

口籠る亜美を振り向かせ、俯いた顔を自分の方に向かせた茂は、流れる涙をそっと拭った。

「…亜美」
「…元カノ、なんですよね。…有坂さんて」

亜美の言葉に、茂は目を見開いた。

自分の頬に添えられた茂の手に、震えた自分の手を添える。目はうつむかせたまま、亜美は続ける。

「…茂さんの彼女は、私だって、…言いそびれてしまって…有坂さんから元カノだったって聞かされて、まだ好きだって…ただでさえ、不釣り合いなんじゃないかって思ってるのに、突然、あんな綺麗な人が目の前に現れたら、自分じゃだめじゃないかって…」


「…それでも、俺の事、好きなんだろ?だから、こんなに泣いてるんだろ?」


亜美は、小さく頷く。…と、茂は、亜美を抱き寄せた。

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