年の差恋愛
…その頃、仕事を終えた茂は、あの日の約束の場所に来ていた。

…あの日、オフィスから美鈴を連れ出して、茂は、美鈴にハッキリ言った。

「…有坂さん、君の誘いは今後一切受ける気はない」

だが、美鈴はその言葉に、顔色一つ変えなかった。…と言うより、ニヤッと美鈴は笑い、茂は美鈴を睨んだ。

「…そう。私の誘いは受けないのね。じゃあ、あの子…オフィスにいた、澤田さんて言ったかしら?その子に、ある事無い事、吹き込んでもいいんだけと?」

「…美鈴、お前ってヤツは」

「…あら、やっと下の名前で呼んでくれたわね。澤田さん、私と違って、純粋無垢って感じの子よね。そんな子は、嘘を言っても、ぜーんぶ信じちゃうだろうなぁ」

「…亜美に変な事吹き込んでみろ。ただじゃ済ませないぞ」

「…」

茂の言葉に、美鈴は一瞬眉をひそめた。

「…美鈴、俺たちはもう別れて1年近くになるんだぞ?今更どうこうなろうと思わない。俺には、彼女以外、大事な女なんていない」

美鈴は鼻で笑った。

「…私の時とは大違いね。…そんなに澤田さんが大事?それじゃあ…仕事が終わる週末、食事くらい付き合って。それで、全部諦めるし、綺麗に身を引くわ」

「…本当なんだな?」

茂の言葉に、美鈴は静かに頷いた。
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