年の差恋愛
梓に言われた事が頭から離れず、茂と2人の楽しい時間の今も、なんだか亜美はうわの空。

「…亜美、どうした?」
「…」

「…亜美」
「…へ⁈…あ、なんですか?」

驚いた顔で返事をした亜美。茂はムスッとした顔で、亜美を見る。その目に亜美は苦笑するしかない。

「…何かあったのか?」
「ううん!全然、何もないです」

「…ウソつけ。さっきからずっとうわの空だぞ」
「…ぁあー、疲れてるからかなー」

なんて、適当な言葉を並べてみたが、茂がそれがウソだという事がわからないはずはない。

「…で、何があった?」
「…ゔ」

「…お前って本当に分かりやすすぎなんだよ。顔に何か困ってますって書いてあるぞ」
「⁈」

茂の言葉に、亜美はまんまと引っかかり、顔に手を当てた。あんまり素直に反応したので、茂は吹き出してしまった。

「…あー!嵌めましたね⁈」

「亜美が話さないからだよ」

「…話す程の事じゃないですから」
「…そうなのか?」

「…うん」

困ったような笑みを浮かべ、亜美は、茂に抱きついた。

「…それならいいけど。なぁ亜美」
「…なんですか?」

「今度の日曜日、デートしようか」

茂の突然の提案に、驚きと嬉しさで顔がパァッと明るくなる亜美を見て、茂はまた笑った。
< 56 / 115 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop