年の差恋愛
出勤する間近まで指輪をどうしようか考えていた亜美。…結局、やっぱり会社に指輪をつけていく勇気が出なかった亜美は、それを泣く泣く、ケースに終おうとした。

「…待って亜美」
「…どうしたんですか、茂さん?先に会社に行ったんじゃ?」

身支度をしに家に帰っていた茂が、慌てて亜美の部屋の中に入ってきた。亜美は驚きつつ、茂を見つめる。

「…これ」

そう言て差し出したのは、シルバーのネックレス。それに華にもついていなくて、ただのチェーンだけ。

「・・・あの?」

亜美は首を傾げるしかない。

「指輪、亜美の事だから、置いて行くつもりだったんだろ?」
「・・・」

茂の言葉に、困ったような顔で、小さく頷いた。

「そうだろうと思って、指輪を買う時に、これも一緒に買ったんだ」
「・・・」

「これに、指輪を通して、肌身離さずつけていて欲しい」
「…茂さん」

「誰にも、亜美を取られたくないって、俺の思いの詰まった指輪だから」
「…ありがとう、分かりました。それにつけて、肌身離さずつけておきます」

亜美がそう言って微笑むと、茂は、手に持っているチェーンに指輪を通すと、亜美の首にそれを付けた。

「うん、よく似合ってる」
「ふふ、ありがとう」

そうして二人は、一緒に出勤した。…さも、途中で会ったと言わんばかりの顔で。
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