年の差恋愛

オフィスに戻り、仕事を始めた亜美。横にいる健斗が声をかけてきた。

「…どうしたんだよ、浮かない顔して？」
「…うーん、突然両親がこっちに来るって言い出してね」

そう言って苦笑する亜美。

「…あー、いくら両親でも、週明けとかやめて欲しいよな」
「…うん、…それに」

「それに？？」

亜美の意味深な発言に、健斗は手を止めて、亜美を見た。

「…え？あ…何でもない」
「んだよ、それ」

慌てたようにそう言った亜美は仕事を始めた。首を傾げた健斗も仕事を始めた。

…定時に仕事が終わった亜美は、早足でマンションに帰る。今日は時間が早いせいもあり、外はまだ、薄っすらと明るい。

その事に安堵しながら、マンションに着き、家の鍵を開け、ドアを開けると、両親の靴が並んでいた。

中に入ったと同時に、いい匂いも漂ってくる。…母が何かを作ってくれてるようだ。久しぶりの母の手料理。なんだかほっこり嬉しくなる。

「…ただいま」
「「おかえり、亜美」」

両親が亜美を笑顔で出迎えた。

…いつ見ても、両親は本当に若い。両親が結婚したのは、19歳の時。2人とも美容師で、まだまだ駆け出しの頃。亜美の妊娠を機に、結婚し、今もまだまだ、カップルみたいだ。

ん？という事は、両親は今、41歳。

茂より、８つも下という事になる。

…茂も歳より若く見えるが、両親に紹介するのを躊躇うのも無理はない。

ただでさえ、亜美を溺愛している父。確実に、大反対される。