年の差恋愛
「…亜美、こいつ知り合い?」
「知ってるも何も…私の上司」

「上司⁈」
「…それだけじゃないだろ、亜美?」

驚く洋一。茂は、いつもの会社での鬼の顔で、亜美に言う。

「…っていうか、その馴れ馴れしい男は誰だ?」

一息つく暇もなく、茂が亜美に質問する。

「…洋ちゃんは、私の「彼氏だけど何か?」

洋一の爆弾発言に、亜美は顔面蒼白。茂は益々眉間にくっきりしわが刻み込まれた。

「洋一、いい加減にしなさいよ!」
「…ま、ママ〜」

「…ママ?」

そこへ助け舟をだしたのは、もちろんあけみだ。亜美は、半泣きになりながら、あけみに助けを求める。

「私という嫁がいながら、彼氏なんてふざけた事言って言い分け?」

低い声で言うあけみに、洋一は、ちょっとシュンとなる。…洋一は、あけみの尻に敷かれている。

「…亜美、これは…」

洋一とあけみのやり取りを見ていた茂の顔は、鬼ではなく、訳のわからないといった顔だ。

「…すみません。亜美がお世話になります。亜美の母です」

ハッとしたあけみがすかさず頭を下げる。茂も驚いつつ、頭を下げた。

「澤田さんの上司をしている、市来茂と言います…あの、それでは、もしかして、そちらは…」

「…えぇ、亜美の父です」

「…」

あけみの言葉に、茂は言葉を失う。…若い。自分より、はるかに年下であろう二人を、茂はマジマジと見つめた。

「…あけみ、でも、たかが上司の男が、こんな時間に酒を持ってくるとかおかしいだろ⁈」

茂が黙った事をいい事に、洋一があけみに言う。
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