年の差恋愛
茂の居なくなった部屋は、とても静かだった。それなりに覚悟はしていたつもりだったが、予想以上に洋一が怒った為、亜美はどうしていいか、わからなかった。

「…亜美」
「…はい」

亜美の名を呼んだ洋一が溜息をつく。

「…なんで、あの男なんだ?男なんて、星の数ほどいるというのに…亜美にはもっと若くて、良い人がいるはずだ」

「…どうして?…どうしてそんなに年の事を気にするの?私は、茂さんが好きだし、茂さんも、私の事を好きだと言ってくれてる。…結婚の約束もしたんだよ?」

「結婚、だと?」

洋一の言葉に亜美は頷いた。

「…私は、他の人じゃダメなの。茂さんがいい。ううん、茂さんじゃなきゃイヤ」

そう言って、ポロポロと泣き出した亜美を見て、洋一は困惑顔。泣かせたい訳じゃない。大事に育てた一人娘を幸せにしてやりたい。本当なら、笑顔で祝福してやりたい。だが、あまりに二人の年齢差があり過ぎる。

それまで、静かに亜美と洋一の話に耳を傾けていたあけみが、口を開いた。

「…亜美、洋一は、貴女を悲しませたい訳じゃないのよ。年の事を気にするのは、亜美が一人で沢山辛い思いをするからなの。…ねぇ、亜美。市来さんが、貴女より先に亡くなったら辛いわよ。彼の方が、絶対先に老いていく…今はよくても、この先、貴女が一人で沢山の物を背負わなければならなくなる。子育て、介護、色々…その覚悟はある?」
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