年の差恋愛

運命のイタズラ

後ろを歩く人物も、困惑していた。

「…おい」
「はい⁈」

でも、まさか話しかけられると思っていなかった亜美はビクッとなって、表情は強張ったまま、振り返る。市来部長はその顔を見て更に険しい顔つきになる。

亜美は萎縮しつつ、市来部長を見つめる。

「…お前の家はこっちなのか?」
「…はぁ」

「…住所は?」
「…××ですが」

「…」

亜美の答えに、市来部長は片眉を上げた。その反応に、亜美は更に萎縮する。

もう、何も言わなくなった市来部長に痺れを切らした亜美は、頭を下げると、歩き出した。

…市来部長は、亜美の後ろをずっとついてくる。駅も、降車駅も、人気の無い街頭少ない夜道もずっと。

マンションまで…亜美はくるりと体を反転させると、思いきって市来部長に言った。

「どうしてずっとついてくるんですか⁈」
「…時間を考えろ。近所迷惑だ」
「…ゔ」

「…自分の家に帰って来て何が悪い?」
「…へ?」

…きっと、今の亜美の顔は、相当マヌケな顔をしているに違い無い。口をポカンと開け、目が点になっている。

「…俺の家だが文句があるか?」
「〜〜〜〜〜っ⁈」

まさかの嫌いな苦手な上司と、同じマンションとかありえない。亜美が口をパクパクさせるのも気にも留めず、市来部長はエレベーターに乗り込む。

「…お前の部屋は何階だ?」
「…6階ですが」
「…」

亜美の答えに、市来部長がまた片眉を上げた。…その顔が怖いっす。亜美は心の中で、怖くて泣いた。
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