年の差恋愛
何も聞かされず、茂はただ、食事をしに来ただけだと思っていたのに、まさかの縁談に、終始困惑気味。

当の縁談相手、美智子は、いつ撮られたか知らない茂の写真も見ていたし、仕事ぶりも、父親から聞いていた為、この縁談には、とても乗り気だった。

…ある程度の話が終わると、専務と常務は部屋を出て行き、茂と美智子の二人になった。

「…市来さんは、この縁談には、乗り気じゃないみたいですね」

美智子はそう言って、苦笑した。

「…乗り気もなにも、あなた方が来る数分前に縁談の話を聞かされたので」
「まぁ⁈そんなんですか?なんで、前もってお話にならなかったのかしら、専務さん」

「私が断ると思ったからでしょうね」
「…私では、不服ですか?」

「いいえ、不服なんて、思いません」
「では」

茂の言葉に明るい顔になった美智子だったが…

「ですが、このお話を受ける事は出来ません」

きっぱりと断った茂に、美智子の表情は一気に暗くなる。

「すみません。前もって聞いていれば、その時にお断りしていたのですが」

「…他に想う人でも?」
「…はい。一生共にしたいと心底思う女性がいます」

「…その方は、どんな方ですか?」
「…話すと長くなりますが」

「構いません。諦める為に聞きたいんです」

美智子の言葉に、茂は溜息をつきつつ、亜美の事を大まかに話していった。

「…どうですか?これで、諦めがついたでしょう?」
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