年の差恋愛
「…その方は、とてもお若いんですね」
「そうですね。ですが、私は、彼女以外に、こんな想いを抱ける女性はもうずっとないと思います」

「…彼女は?」
「…え?」

「…彼女は本当に、市来さんでいいんでしょうか?」
「それは…」

あの日以来、亜美とは会っていない。両親の反対。今後の自分との生活を考えると、もしかすると、別れるというかもしれない。それでも…

「私なら、迷いません。結婚するからにはそれ相応の努力も覚悟もあります。歳も歳ですから。…市来さん、私との未来を考えてはくれませんか?」

「…すみません。それは出来ません。もし、彼女が私との未来を考えられないと言われても…結婚を取りやめると言われても、彼女だけは、あきらめるつもりはありません。私には彼女だけですから」

「…」

美智子は何も言葉が出なくなり、俯いた。茂は立ち上がると、美智子に一礼する。

「…それでは、失礼します」
「…待って!」

「…まだ、何か?」
「この縁談を断ったら、貴方の昇進の話はおろか、この会社にいられなくなると言ったら?」

…少し睨むような目で、美智子は茂を見てそう言った。

「…脅しですか?」
「…どうとってもらってもかまいません」

茂は溜息をついた。







「…昇進の話が無くなっても…この会社にいられなくなっても…それでも私は…俺は、彼女を選びます」



茂はそう言うと、部屋を出て行った。
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