年の差恋愛
玄関先で、泣かせ続けるのもどうかと思い、茂は亜美を部屋の中に入れ、ソファーに座らせ、自分も横に座り、泣き止むまで、背中をさすり続けた。

「…ごめん、なさい。泣きすぎ、ですね」

なんとかそう言った亜美は、まだ、ヒックヒックと、しゃくりあげていた。

「…いいよ。泣かせたのは俺だから…ごめんな」

「ううん、違う。違います。沢山話したい事がありすぎて、思いが溢れてしまって」

「…うん、ずっと、俺の事、考えてくれてた?」
「はい。いっぱい、いっぱい考えて…」

そう言ってくれた亜美の頭を優しく撫でた。

「…両親に、年の差の事を指摘されて、私より先に、茂さんが老いていくって、そしたら一人で何もかも受け止めて、乗り越えていけるのかって…実は、そこまで考えてなくて」

「…うん、俺もそこまで考えてなかったよ。先にどちらが死んでしまうのかなんてわからない。でも、確実に、俺の方が先に老いていく。亜美に沢山辛い思いを、大変な思いをさせると思う。本当なら、逆が良かった。そしたら、亜美の全部を俺が背負う事ができるのにって、自分の年齢を呪ったくらいだ」

「…私は」

泣き腫らした目で、亜美は茂を見据えた。茂は優しい笑みを浮かべた。

「…亜美の思ったままを言ってくれ」


「…私は、それでも、…茂さんと一緒にいたい。沢山子供を作って、子供達と私で、茂さんの面倒を見るって決めたんです。私は、茂さんに幸せにしてもらうんじゃなくて、茂さんを幸せにしてあげます!」


そう言うと、満面の笑みを見せた。



「…俺は完璧介護される側だな」

そう言って、茂は苦笑した。
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