年の差恋愛
「…いいえ。今日は、話を聞いてもらえただけでいいんです。それに、あけみさんの援護射撃のおかげで、少しは顔つきが変わったように見えたので…」

そう言って、茂は少し嬉しそうに微笑んだ。

「…茂さん。洋ちゃんに認めてもらわなきゃダメなのかな?なんだかこのままずっと、認めてもらえないような気がして…それならいっそ、洋ちゃんに認めてもらえなくてもいいから、結婚してしまえば「亜美、それは出来ない」

亜美の言葉に茂の言葉が重なる。

「だって、洋ちゃんずっと怒ってるもん…こんなに辛いのはイヤ…どんな事も、ずっと笑顔で頷いててくれた洋ちゃんが、こんなんじゃ」

「イヤだろ?ずっと怒ったままの洋ちゃんは」
「…うん」

「笑顔で頷いて欲しいだろ?洋ちゃんに」
「…うん」


「だったら、頑張ろう。笑顔で頷いてくれるまで、何度でもお願いしに行こう…な?両親に祝福される結婚をしたいから」

茂は、亜美の頭を優しく撫でた。そんな仲睦まじい2人を見て、あけみは認めた事を本当に良かったと思えた。

…洋一にも、2人を認めてもらえるように、自分に何が出来るだろうか?あけみは、色々な事を考えていた。


「…今日はこれで失礼します。帰ろうか、亜美」
「…うん、ママ、また来るね」


「えぇ、また来なさい。気をつけて帰ってね」

2人を見送ると、あけみは、洋一のいる寝室に向かった。洋一は、寝室のベッドに座ってぼんやりしているようだった。

あけみは何を言うでもなく、洋一の隣に腰掛け、洋一を優しく抱きしめた。

すると、洋一もあけみを抱きしめ返した。

「…分からず屋の父親で、亜美もカンカンだろうな」

そう呟いた洋一。あけみは、クスッと笑うと、より一層洋一を強く抱きしめた。


「…分からず屋の洋一はまだまだ子供ね」
「…うるさい」

本当は認めてやりたい。だが父親として、娘が大事で、大事で…どうしようもないのだ。

洋一はその夜、あけみを抱きしめたまま眠りについた。
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