年の差恋愛
「さて、どうする?」
「・・・」

「まぁ、答えを今すぐに出す事なんて、無理だと思う。婚約者と言う事は、両親も知ってるだろうしな。考える時間をあげよう。と言っても、半年が限度だな。美智子さんも、歳が歳だ。子供も早く欲しいだろう。だから、半年以内に結論を出せ、いいな」

そう言い捨てると、シッシと手で、茂を追い払う。茂は、反論する言葉が見つからず、今は、専務室を出ていくのが精一杯だった。

…オフィスに戻ると、一番に、亜美の後姿が目に入ってきた。

亜美は、健斗に聞きながら、仕事中。・・・こうやってみると、自分より、やっぱりお似合いだと思ってしまう。でも、だからと言って、亜美を手放すつもりなど、微塵もない。

…そうなると、この会社を辞め、違う会社に転職するとなると、大事だ。どこに移っても、仕事をこなす自信はあるが、もう49だ。そう簡単に次の仕事場を見つけるには、歳が行き過ぎている。

かといって、今の仕事を続けるには、亜美と別れて、美智子との結婚・・・

そんな事、想像もできない。したくもない。

やっと出会えた運命の人なのに、なぜここで手放さなければならないのか?

そんな状況下におかれても、茂は、毎日のように、仕事が終われば、亜美の実家を訪れていた。

その事は亜美は知らない。亜美の負担を少しでも背負おうと、茂は一人、ほぼ毎日、あけみや洋一に会いに行った。

あけみは笑顔で出迎えてくれるのだが、肝心の洋一は、会ってもくれなかった。それでもめげずに、洋一に会えるその日まで、毎日顔を出した。

帰り際、洋一は、窓から、茂の後姿を毎回見ていた。肩を落とすこともなく、めげる事もない、茂を見ているうちに、洋一の心も、次第に変わっていった。

そんな日が続いたある日・・・


「こんばんは」
「こんばんは、茂さん。中に入って」
「え?!・・・いいんですか?」

もう何日この家に、通い続けただろう。玄関から先に入ったのは、亜美と一緒に来たあの日以来、初めての事だった。戸惑う茂を、クスクスと笑いながら、あけみが中に招き入れてくれた。

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