年の差恋愛
亜美の実家とはいえ、どうして今ここに亜美がいるのか飲み込めず、茂はキョトンとしている。亜美はクスッと笑うと事情を説明した。

「…洋ちゃんから連絡もらって。2人とも、もう仕事に行ったよ。休日、美容師はかきいれどきだから、休めない。だから、茂さんが起きるまで、ここにいてやれって」

「…そうか。美容師も大変だな。…亜美、わざわざありがとう」

「…ううん。…洋ちゃんと、何を話したんですか?」

「…亜美の子供の時の話」
「エッ⁈ウソッ⁈もう!信じられない!洋ちゃん、変な話ばっかりしたんですよね?」

茂の言葉に、慌てふためき、怒った表情をする亜美。茂はクスッと笑って首を振った。

「そうでもない…ただ、亜美は、本当に、洋一さんやあけみさんに愛されて育ったんだなって思った」

「…あれ」
「…ん?」

「いつから洋一さんて、呼ぶようになったんですか?」
「あぁー。昨晩から。お父さんはやめてくれって言われた。その方がいいって」

「…洋ちゃんが、下の名前で呼んでいいって言ったんですか?」

亜美の言葉に、茂は頷いた。

「…茂さんの事、認めてくれたんですか?」
「…さぁ」

「さぁって…」

亜美はそう言って溜息をつく。

「…でも、少しは近づけたと思う。焦るつもりはないから、ゆっくりいこう、な?」

「うん…あの、茂さん」
「…ん?」

「…私に他に、話したい事はありませんか?」
「いや?特にないけど」

「…そうですか。それならいいんです」

意味深な亜美の言葉が気になったが、思い当たらない茂は深く考えないようにした。
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