年の差恋愛
その日は、あけみですら、茂を送る事はしなかった。

…部屋の中、亜美は俯いたまま、ただ静かに泣いていた。

あけみは亜美の隣に座り、優しく背中をさすっていた。

「…洋一、どうして結婚の話を白紙に戻すなんて言ったの?」

あけみも本当の理由は知らなかった。

「…仕事と、女。どちらかを取れと言ったら、あけみならどうする?」

突然の質問に、あけみは顔をしかめた。

「…今、あいつは同じ選択を迫られてる。あの男なら、迷わず女を、亜美を選ぶだろう。…亜美にも、同じ選択をさせた。亜美は、あいつを守るために、あいつを諦めた。あけみはもう、何も言うな。亜美が選んだんだから。分かったな?」

「…亜美」

「…ごめん、ね、ママ。彼をどうしても守りたかった。今まで、ずっと仕事だけを頑張って来た人だから…私から別れを告げれば、諦めてくれるでしょう?」

泣きながら、精一杯笑って見せた亜美が、あまりに痛々しくて、あけみは亜美を抱き締めた
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