年の差恋愛
「私の秘書が、専務と常務が、裏で、何やらコソコソと動いていると報告を受けてな。全く、私が手塩にかけて育てた部下を辞めさせようとは、何を考えてるんだ専務は」

「…社長、お言葉を返すようですが「黙れ!」

専務に喝を入れた社長は、茂に向き直った。

「…市来部長、本当に、会社を辞めるつもりか?」
「…はい、そのつもりです。これ以上、信用出来ない専務や常務の下で働くつもりはありません」

…相手は社長だと言うのに、茂は自分の意見をしっかりと言った。

亜美は、オロオロとしながら、事の成り行きを見守っている。

社長は溜息をついて、茂を見据えた。

「…全く、お前って言う奴は、相変わらず融通の利かない男だな」

「…すみません、社長には、大変お世話になったと言うのに」

「全くだ。…私も引き下がるつもりはないぞ。市来茂を手放すつもりはない。行く行くは、私の右手にするんだから」

「ですが」

「…専務、君と常務の異動が必要なようだ」

社長の言葉に、皆が驚く。

「…社長、私がいなくなれば、専務や常務も、良からぬ事は考えません。ですから、異動などと」

「黙れ、市来。これは社長として、今一番大事な人材を残す為の措置だ。口出しは無用だ」

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