箱庭スカイ。
第一章
俺はもともと体が弱くて
その上、
平熱が人より高くて
走ることも
遊ぶことも
病院から出ることさえも
許されなかった。
生まれてからずっと
病院からの景色しか知らない。
知っていたとしても、自分の目で見たことはない。
…当然だ。
俺は病院と呼ばれる真っ白の建物から
出たことがないんだから。
かわいそう、とよく言われるが
俺にとってはそれが普通で
そのことになんの感情も抱いていなかった。
大きな大学病院の一室
それが俺の全てで
それが俺の世界だった。