秋、誰か私を見つけて
私は毎年繰り返す
同じことを繰り返す
すれ違う恋人たちを見ては
ふとした瞬間に肌を刺す風の冷たさを感じては
西に沈む日の光に目を細めては
気づけば頬を伝っている雫もそのままに
声も上げずに泣くのだ
誰かの温もりに包まれることだけを望んで
でもその誰かは誰でもいいわけでもなくて
温もりを求めて出会っては
その温もりじゃないと感じて
また別の誰かの温もりを求めて
私は秋が嫌いだ
誰かの温もりに包まれていないと不安になる
私は秋が嫌いだ
【完】