私を見つけて
私は県立高校に通う至って普通の女子高生だった。
『普通』という言葉は私のためにあるんじゃないかって思うくらい。
勉強もスポーツもそこそこできた。
そこそこできるけど、なにか人よりできるというものはひとつもなくて。
平均点。
平凡。
もし、ひとつだけいいところを挙げるとすれば、人見知りをしないことくらい。
そんな私だから、まさか事故にあうなんて思っていなかった。
変な言い方だけど、事故にあうなんて選ばれた人なんだって思ってた。
良くも悪くも、私はセリフのない、例えば通行人Aみたいな人間。
そんな人間が交通事故にあい、十六歳で幽霊になっちゃうなんて。
神様が配役を間違えたとしか思えない。

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