私を見つけて
アキが笑いながら、体を起こして私の顔を見る。

「俺の夢を教えてやろう」

「なにそれ、えらそう」

「良いから聞けって」

「はいはい、なに?」

どうせまたくだらない夢でも語ってくれるのだろう。
キングになりたいとか王様になりたいとか。
私は頬杖をついて窓の外を眺める。
雪はまだ降り続いている。
木の枝に雪が積もって重たそうに見えた。

「卒業したら、親父と一緒に働きたい」

思いがけない言葉が返ってきて、私はえ?と振り向いた。

「お父さんと一緒に?」

「うん。それで親父の跡を継ぎたい」

「なんの仕事してるの? お父さん」

「家建てる人」

「大工さん?」

「まぁ、そんなとこ」

「なにそれ。かっこいいね」

素直な感想だった。
私の学校のともだちは、高校を卒業したら大学に進学する人ばっかりだ。
大学に入学して、勉強して、当たり前に就職する。
私のお父さんもそうだけど、月曜日から金曜日までスーツを着て会社に向かい、パソコンの前で仕事をする。
漠然と、私にもそんなオトナになるのかなぁと考えていたから。
そういうのが、当たり前の未来だと思っていたから。
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