私を見つけて
「あのね」

私はアキに話しかけた。
アキに考える隙を与えないように。
私の不自然さや、矛盾点に。
アキが気づかないように。

「今日さ、古文の授業、すごく眠かった」

「古文? あー、あれ眠くなるよな」

「お昼ご飯食べてからの古文って、駄目だよね」

「昼って学食?」

「うん。たまにお弁当だけど。今日は学食だった。カレーうどん食べたの」

「うまそ」

「おいしいよ、うちの学食」

「おれは、唐揚げ定食だった」

ライス大盛りにしてさ、と楽しそうに話し続けるアキの話にうなづきながら、私は心の中で安堵のため息をつく。

大丈夫。
こうして、いかにもありそうなことを話していれば。
きっとばれたりしない。
私が幽霊だってこと。

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