私を見つけて
閉館の放送が流れて、私とアキは同時に顔を上げた。

「もうそんな時間か……」

アキの言葉はまるで私の心を代弁しているようだ。
病室で過ごす時間はとても長く感じるのに、アキとこうして図書館で過ごす時間はとても早く過ぎる。

ぱたん、と教科書が閉じられて、アキのリュックサックにしまわれていく。
私はその様子をぼんやりと眺めていた。

「……送らなくて大丈夫?」

立ち上がるとアキがためらいがちにそう聞いてきた。

「平気」

私はきっぱりと断ってにっこりと笑ってみせる。

「近くだから」

アキは、そっかと小さな声で言って髪の毛を左手でつまんだ。

「明日はどうする?」

そう聞いたのは私の方で、「来る」と答えたのはアキだった。

「じゃあ、私も来る」

私がそう言うと、アキはにっこりと微笑んだ。

たった一人の話し相手。

「また明日ね」

そう言って私はアキに背を向ける。

角を曲がったところで、ふっと意識は途絶えた。








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