私を見つけて
気がつけば、また図書館に来ていた。
自習スペースにアキの背中は見えなかった。

やっぱりな。
あんなこと、言ったんだもん。
もう来ないよね。

心のどこかでわかってはいたけれど、実際に空っぽの机を見ると思っていたよりも心が沈んだ。

これからどうしよう。

事故にあって、幽霊になったと気づいたときよりも、はっきりとそう感じた。
おかしな話だ。
アキと会えなくなって初めて、これからどうしようかと思うなんて。

ひとつだけひいてあったパイプ椅子に腰掛けると、窓の外を眺める。
相変わらず、この地域は雪深く、今日も十五センチほど雪が積もっていた。

あーあ。
つまらない。
外にでてみようか。
雪に触れることも、外の寒さを感じることもできないけれど、こうしてここにぼんやりと一人で座っているよりも、気分は晴れるかもしれない。

意識を集中させる。
窓の外へ。
目の前の景色に、意識を集中させる。

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